グラム染色修行を再開します

1年前に当院で産声をあげたグラム染色。無知を恥じることなく白旗を振り続けたお陰で、中央病院の技師さん、そして相原先生という素晴らしき師匠に恵まれ、何とか院内でのグラム染色検査をスタートさせることが出来ました。
 昨年12月20日付で私と岡安さんの元に『塗抹マイスター制度初級認定証』が届き、マイスターという響きにうっとり。

 病棟でグラム染色を指示する石塚先生に

「先生、これから岡安さんにグラム染色を頼む時には、『マイスター、お願いします。』と言わなきゃダメですよ。」

と言ったところ(完全に調子に乗っています)すかさず

「マイスターって言っても…初級でしょ?」

と切り返されてしまいました。(石塚先生の作戦ですね。)なんですと!じゃあ中級まで取ろうじゃないですか!!とまんまと策略に乗って奮起した所まではよかったのですが…。
 
 相原先生から中級試験のお知らせメールを頂いた産休中の先日。出産で全エネルギーを使い果たしてしまった私は、蝉の抜け殻のようにカラカラ。体調の不安定さに、さすがにこの状態では…と受験をお断りしてしまったのです。せっかく受験するのであれば、それを機に自分の足りない部分(日々痛いほど自覚しております。)をきちんと強化し、レベルアップして望みたい。

 そんな訳で、体調も徐々に整い仕事に復帰した現在、再び勉強を再開しました。2013年の目標として中級の認定証を頂けるよう、頑張りたいと思います。
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# by kasama-hospital | 2012-12-11 00:18 | グラム染色

男の介護

 さてさて、今日のテーマは、題して『男の介護』です。とある日の訪問診療コースの患者さん数名の介護環境に、この共通のキーワードがあり、面白い特徴が浮かび上がってきたのでご紹介させて頂きます。

 在宅介護(家で介護を行うこと)において、介護をする人は、嫁や妻など圧倒的に女性が多いです。私の印象では9割くらいが女性ではないでしょうか。男性は仕事をしていることが多い、伝統的に家事育児介護は女の仕事とされている、そもそも適性がない(?!)などが一般的に挙げられている理由でしょうか。その中で少数派である男性の介護。だからこそなのか、かなり濃いキャラクターで介護を展開しており、無視できない存在感を放っているのです。

男の介護の特徴その1)数字にこだわる

 ナースステーションの温度板も真っ青の、詳細な数字の記録を見せられることが多いです。体温・血圧・脈拍数などのバイタルサインを1日4回も5回も測っていたり、血糖、飲水量や尿量などのインアウトまで時間ごとに記載してあって驚きます。男性はやはり理詰めで数字から入るのだな~と実感。
その割には、認知症の徘徊が顕著な妻(被介護者)について、
「この頃ちょっと物忘れするようで心配なんですが…。」
と今さらそこ?!な問題提起をしてくれるのがご愛嬌だったりするのですが。
 女性の介護者からこういう記録物を見せられることはあまりないのです。女性は何となく顔色が優れない、言葉数が少ないなど、大局で全身状態をはかる傾向があります。子育てを経験しているからでしょうか。(そう言えば、うちの夫も赤ん坊のミルクを溶かすお湯の量に異様に拘っていたような…)

男の介護の特徴その2)介護がライフワーク?
 母親の介護のために、サイドテーブルや点滴台を自分で溶接して作ってしまった息子がいました。妻のベッドをちょうどいい高さに調節するため、パイプ足を電動カッターで切ってしまった夫もいます。
とにかく創意工夫を欠かさず、いかに良い環境を作れるか試行錯誤の日々。かなりの力技も辞さない熱意があります。 

 女性介護者ではあまりこういうことにはなりません。工夫と言っても、せいぜいペットボトルのキャップに穴をあけたり、針金ハンガーを曲げて障子の桟に引っ掛ける程度。ある物の中で出来る範囲で…と力が抜けているのです。そう、女性の介護を一言で言えば「力が抜けている」のだ。悪い意味ではないのです。なんと言うか、生活の一部。淡々と、自然に、やるべきことをやる、と言うような。男性の場合、一大プロジェクトという感じで、とにかく熱い。

 正直、その介護ぶりにこう思わずにはいられないのです。
「もしかして…生きがい?」
現に、折に触れてきめ細かい介護をたたえる私達に、
「(介護は)もう、大変なんてもんじゃありませんよ。自分の人生を捧げる覚悟がないと!」
とその大変さをアピールしながら、一方で妙に生き生きしているのは気のせいでしょうか。
少しでもその介護負担を減らそうと、ご兄弟との役割分担を持ちかけても
「いや~、下手に関わる人が増えると面倒くさいので、自分一人でいいです。」
と全てを自分で負おうとする。こういう方は、知らず知らずに頑張り過ぎて、ある日オーバーワークで倒れてしまわないよう、関係者も気をつけて見守らなくてはいけませんね。

男の介護の特徴その3)従順な被介護者あってこそ
 当然と言えば当然だが、介護の姿は単体であるのではなく、それまでの人間関係の最終形態です。それまで劣悪な人間関係で来たのに、いざ介護する状況になったからと言って、じゃあ突然力を尽くして介護して差し上げようとは思わないでしょう。そう考えると、介護者としては少数派である男性が「この人のために介護してあげよう!」と決意するということは、それだけ元気だった頃によくしてもらった、いい関係が築けていたということの何よりの証明。両者に対して心から尊敬の念を覚えます。

 介護者が上で述べたような特徴(熱い思いと強いこだわりを持った介護)を有する一方で、介護される側は、それにぴったりと合う特徴を有することが多い印象が。つまり、いつもニコニコしていて口数少なく、常に感謝し、介護者に口答えをしない。(←これが大事?)
「病院でもないのに、1日3回も血圧なんか測らなくていいよ。もう年なんだから、うるさいこと言わないで好きな物食べさせておくれよ。」
などと言うような生意気なばあさんは、間違いなく夫の献身的介護は望めないのである。

「あぁ…。私はやっぱり夫に介護してもらえそうにないわ。その時は、一緒に老健に入ろうね。」

訪問診療の車の中で、今日も看護師さんとつぶやきながら、病院に帰るのでした。女性の皆さんはどうですか?あなたは‘男の介護’を受けられそうなタイプですか??
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# by kasama-hospital | 2012-12-07 00:22 | 認知症・介護

産休から復帰しました!

 すっかりご無沙汰しています。8月下旬から産休を頂き、患者さんやご家族、医療関係者の皆様には大変ご迷惑をおかけ致しました。お蔭様で10月2日に無事男児を出産し、11月28日から勤務に復帰しました。改めて、今後ともお付き合いをよろしくお願い申し上げます。

 今は若干錆ついた頭をフル稼働させ、何とか日々の勤務を行っています。夜は赤ん坊の夜泣きと格闘し、とにかく思いきり寝たい…というのが切実な願いではあるものの、一方では働いて多くの人とコミュニケーションを取ることの出来る楽しさや有難さもかみ締める毎日です。

 すっかり忘れ去られたように放置されている市立病院ニュースの方も、気分一新、少しずつ更新を再開していこうと思います。奮闘する病院スタッフのこと、日々の診療で感動したことや感じたこと、最近読んで面白かった本のことなど、自分なりにお伝えしたいことは沢山あるのですが…。

 さて、気がつけばもう12月。来年の手帳はもう準備されましたか?私は、モレスキンの限定版、星の王子様バージョンの手帳を入手しました。ほどよい大きさと重さ、ウィークリーが主のシンプルな構成、書くスペースが沢山あるところなど、色々な意味でとても気に入っています。素敵な手帳があると、それだけでワクワクして年が明けるのが楽しみになりますね。この手帳に胸躍る予定を沢山書き込めるように、来年も充実した一年にしたいものです。

 皆様にとっても2013年がよい一年になりますように!(かなり気が早いですね。私も、その前にたんまり片付けなくてはいけないことが…)
                                                    白土綾佳
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# by kasama-hospital | 2012-12-05 00:24 | 今日の出来事

元気が出る老人介護

 高齢者介護について、面白い本をご紹介します。
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 著書の三好春樹さんは、就職先がなかったためにたまたま老人ホームに就職したことから介護に携わるようになり、後にPTの資格を取って再び老健施設に戻ったという経歴の持ち主。‘医療‘‘福祉’という権威を振りかざして高齢者の生活を阻む人や制度を、本の上でばっさばっさと切っていくのが、切られている当の医療者ながら小気味よいものが。

 私が茨城県の小さな病院や診療所をうろうろするようになって、今年で9年目になります。県立中央病院での研修医生活を終えて、一人で高齢者と向き合うようになって数年たち、正直言ってなんだか毎日の診療が面白くないな…とうつうつしていた時期がありました。大学病院のように最先端の医療をやる訳ではない、ガイドラインに乗っとった‘標準的な治療’をしようにも、高齢の患者さん相手ではなかなかうまくいかない。適応があるからと張り切って総合病院に紹介しようとしても、家族に
「もう年なので紹介しなくていいです。ここでやれる範囲でやって下さい。」
と言われてしまったり、認知症の患者さんとはうまくコミュニケーションが取れなかったり。

 どうやら高齢者の生活にとっては、‘医療’と‘介護’が同じくらい、いや慢性期で落ち着いている方では圧倒的に介護の方が重要な地位を占めるんじゃないか…ということに気がついてしまったのです。
医療者としてはちょっとした敗北感を感じつつ、気を取り直してそれならば介護にも正面から取り組んでみようと、介護の教科書のようなものを買って読んでみたのですが、あっという間に挫折しました。本を読むのは嫌いではないはずなのに、どれこもれも面白くない。
‘認知症患者への正しい対応の仕方’なんて

「それが出来るんなら苦労しないよ~。介護者だって人間だから、疲れていたりイライラしてたらそんな風に優しくなれないって。」

と言いたくなるような、聖人君子的な対応が求められていたり。切羽つまった気持ちでこれを読んだ介護者は、自分を責めてますます落ち込んでしまうのでは…とさえ思いました。

 高齢者と向き合う町医者にインパクトと知識を与えてくれるような介護の教科書はないかな…と探した時に出会ったのが、三好春樹さんの本だったのです。初めて読んだ本は、教科書なんかではなく書店で並べられていた文庫本の『老人介護~じいさんばあさんの愛し方』でした。本当に衝撃的でした。最後まで読んで本をパタリと閉じた時に、ついに出会ってしまった…と興奮でドキドキしていました。介護って…介護って…楽しかったんだ~~!!(日々介護で大変な思いをされている方は不快に思われるかもしれません。ごめんなさい。でも、私はその時本当にそう思ったのです。)それからは、次から次へと三好先生の著書を買いあさり、今でも介護に関する私の心の師匠であり続けています。

 それまでの私が、介護にあまり興味が持てなかったのは、‘医療’という切り口から高齢者を見ていたからなのかもしれません。医療は「問題点(プロブレム)を探す」という所からスタートします。高齢者は、彼に伴う‘悪いところ’だらかで、そういう意味ではプロブレムリスト作りに不自由はしないのですが、標準的な治療をしようと思うと別のプロブレムが足を引っ張ってなかなかうまくいかない。野菜で言えば‘規格外’の連発で、全く売り物になりません。(10代20代のピチピチの体が規格品です♪30代の私は…アウトレット?)それを生活指導やら薬やらによって少しでも規格品に近づけようというのが医療なのだとすれば、なかなかうまくいかないのはあたりまえ。うまくいかないのは面白くないという訳です。

 三好春樹は「看護師は医学的な知識があるから介護ができると周りも思っているし、本人もそう思っていることが多いがとんだ勘違い。看護師は介護が下手。」(いわんや医者をや、ですね)なんて言っていますが、それは‘悪いところ探し’から出発する介護だからかもしれません。介護に必要なのは、‘生活’という切り口から高齢者を見ること。ありのままを受け入れることから出発するんですね。私はこの本を読んでようやくそのことに気がつき、高齢者の方と向き合うのがずっと楽になりました。余計な力が抜けたのでしょうか。

 三好先生の本には、頑固だったりプライドが高かったりエロかったり、性格が悪そうな老人が次から次へと出てきて、施設のスタッフも日々四苦八苦しています。年をとると人格が成熟するなんて冗談じゃない。(‘性格が煮詰まる’と表現されています)対応もケースバイケース、マニュアル化なんてとても出来ません。腰が曲がったりマヒが出たり耳が聞こえなくなったり
…にも関わらず、年を取るって悪いことばかりじゃないな。この本を読むとそんな風に思えるのです。
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# by kasama-hospital | 2012-11-08 00:29 | お勧めの本

待ち時間に対する取り組み(1)

こんにちは。白土です。朝夕めっきりと寒くなり、かぜが流行り始めていますので皆さんお気をつけ下さい。(私も風邪を引いています…)

 ここ何ヶ月か、つくば大学5年生の医学生実習で試験的に行っている試みがあります。題して‘インタビュー実習’!(←今初めて名づけてみました)

ことの起こりは数ヶ月前。石塚先生が院内の勉強会で、
『各々の地域医療に対する取り組みを、周囲に発信するようにしよう』
とスタッフに呼びかけたところから始まります。そう、日本人は口を動かさずに黙々と働くことを美徳としますが、それでも言葉にしなくては伝わらないことってありますよね。病院として、少しでも病院を改善するために、こんなことを考えてこんな風に努力しているということを、院内だけではなく院外(患者さんや地域の方々)にアピールすることも大切だと思います。発信することで、自分の中でよりモチベーションが上がり、新しいエネルギーや発想が沸いてくることも期待ですます。

スタッフの一員である私も、早速企画書なるものを作ってみました。現実的な提案から突飛な妄想(こちらが多数…)までそれはそれは色々と。その中の数少ない実現可能なアイディアが、‘学生さんコンシェルジェ実習’だったのです。

私たち医療関係者は、職歴が長くなるほど、患者さんの視点を見失いがちです。病院が日常的な‘仕事の場’になってしまい、患者さんがどんな不安を抱えて病院に来ているのか、またどんな所に不都合や不満を抱いているのか、自然に想像することが難しくなってしまうからです。そんな‘慣れ’に染まっていない学生さんだからこそ見えるもの、吸収できるものがあるはず。学生さんに、半日コンシェルジェ(ホテルでお客様の希望をサポートする役割のスタッフ)になってもらい、高齢で足が不自由な方の車椅子を押したり、初診で院内に慣れていない方の案内をしたりという役割を担ってもらえば、外来患者さんの気持ちに近づけるのではないか…と考えたのです。患者さんからしても、外来の奥の方でイスに座って黙々とメモを取っている学生さんよりも、積極的に動き回って自分たちと関わりを持とうとする学生さんに対してより親近感を覚えるのが自然です。患者さんと学生さんが直接話をする機会に恵まれれば、病院の中により一層学生さんをスタッフの一員として温かく迎えようという傾向が強くなることも期待できます。

ただ、学生さんだってつくばから来てうちの病院には不慣れ。いきなりコンシェルジェはちょっと荷が重いかも…まずは患者さんのお話を聞くあたりから始めてみよう、という流れで、インタビュー実習になったのだと思います。いやでもインタビュー実習だって結構大変です。いきなり外来患者さんでごった返す待合ホールに一人放り出され(?)あたりかまわず患者さんに

「ちょっとお話を聞いてもよろしいでしょうか?」

と突撃インタビューを行うのですから、なかなか勇気が要ります。

 ところが、つくば大の学生さん、これを本当に一生懸命やってくれています。提出されたレポートを読みながら私はいつも感心しています。インタビューの項目は最近は学生さんに任せており『うちの病院のいいところ・通っている理由』『改善して欲しいところ』などを聞いてくれることが多いのですが、病院としてかなり重宝しているというのが正直なところ。学生だからと気を許してしまうのか(?)皆さん結構本音を言って下さるんですね。企業が一般モニターなどを通して自社の製品の正直な感想を聞きたがる理由が、実感としてよくわかりました。この結果は、必ずや患者さんにフィードバックしたいと思います。(つづく)
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# by kasama-hospital | 2012-10-28 00:33 | 今日の出来事

今日も張り切って診療中


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