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つまりはフェルガード…だったのか?

またまたご無沙汰しています。ようやく春の足音が聞こえてきましたね。大好きな春です。

 久しぶりに症例のご紹介をしてみます。

80歳代前半の男性が、かかりつけの先生からの紹介状持参で受診されました。予約でのもの忘れ外来受診を待てないほど切羽つまった様子でした。数か月前から体の動きが悪く転ぶことが多くなり、顔面を打撲したり腕の骨を骨折するようになったとのことです。幻視(実際にはない物が見えること)もあります。一方で座らず立ったままで食事をするほど落ち着きがなく、不眠で一晩に20回以上トイレに行くなどの症状もありました。紹介元の医療機関からは、リフレックスという抗うつ薬やドグマチールという抗精神薬が処方されていました。

外来での診察所見と暮らしぶりを聞き、LPC(レビー・ピック複合)と診断しました。最近このタイプの認知症はとても多いです。ピックの荒ぶる陽性症状とレビーの傾眠(ウトウト寝てしまう)に代表される陰性症状が入り混じり、治療に苦慮することが多いのがこのタイプです。

前回の記事で入院の適応について触れ、私の失敗例もお示ししましたが、何を隠そうそのモデルがこの方です。自宅が自営業で繁忙シーズンなのに患者さんに振り回され家族が疲れ切っているということもあり、入院で内服調整しようと思ってしまったのです。外来では一応こちらの話に頷いていましたが、病棟に上がってからはソワソワと落ち着かなくなり、最終的には

「なんでこんな仕打ちを受けなくちゃならんのだ!訴えてやる!!!」

となってしまい、入院同日のお帰りとなった訳です。お迎えにこられた息子さんとお話をし、
ウィンタミン量の自宅で調節(家庭天秤法)をお願いし、フェルガード100Mの内服もお勧め、脊柱管狭窄症由来の足のしびれにはリリカを処方しました。

 退院翌日、ケアマネージャーさんから電話があり、ウトウト寝ていて歩けないとの報告を
受けました。家庭天秤法に従ってウィンタミンを減らすように指示をし、自宅で様子を見ることとなりました。

 2週間後、こちらの気がかりを裏切るようにご家族がニコニコして報告して下さいしまた。

「ずいぶんいいです。歩いています。」

ウィンタミンは1包まで減らして様子を見たものの、最低量でもフラフラしてしまうとのことで、結果的にウィンタミンは使えなかったようです。本来なら危機一髪…。でもずいぶんいいってどういうこと?!

その後自分の目で本人を診察し、納得せざるを得ませんでした。本当に調子がいいのです。診察室でニコニコ穏やかに笑っており、デイサービスは楽しいから毎日でも行きたいと言うのです。家族の話では傾眠も見られなくなり、転倒もしなくなったとのこと。

 ご家族に喜んで頂き結果オーライではあるものの、正直いまいち釈然とせず、いい方向に向かった理由を自分なりに考えてみました。

・パーキンソニズム(歩行障害)を悪化させるドグマチールと、認知機能を低下させる可能性がある抗うつ薬を中止したこと
・フェルガード100Mを開始したこと
・リリカを開始ししびれが和らいだこと(以前はシーツのしわに触れてもビリビリ痛み、夜眠れなかったそうです)

 今回は引き算と、ほんの少しの足し算ですね。困ったら家族に聞けという教え通り家族の方にも聞いてみたところ、やはりフェルガード100M(米ぬかの成分フェルラ酸とガーデンアンゼリカというハーブの配合サプリメント)が効いたのでは…と言います。

 外来で穏やかな笑顔を見せる患者さんを拝見し、改めてフェルガードの威力を感じました。ご家族も以前よりは介護負担が減り、仕事として栽培されている果物も、無事出荷することが出来ました。その果物を購入した看護師さんのお陰で、ナースステーションは果実の甘~い香りに包まれました。

 さて、春と言えば出発の季節。春から入園の息子のために、私も慣れないミシンと格闘し袋物をこしらえました。近くで見るとありゃ…という出来栄えですが、私の実力120%です。息子に負けないよう、私も頑張って新しいスタートを切りたいと思います。
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by kasama-hospital | 2014-03-29 07:42 | 認知症・介護

今日も張り切って診療中


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