ヨードうがいはダメです!

 あけましておめでとうございます。今年もどうぞよろしくお願い致します。

 さて、寒さと共に流行ってくる急性上気道炎。このシーズンには、

「かぜを引かないように、うがい薬を下さい!」
「かぜで喉が痛いので、うがい薬を下さい。」

と言ってこられる患者さんがいらっしゃいます。まじめな中年女性が多いでしょうか。生活をきちんと管理しようという心がけは素晴らしいのですが、実は大きな落とし穴が。

 どんなうがい薬をイメージしているのか聞くと、「茶色くて臭い…」ヨードうがい液(イソジンうがい液)のことが圧倒的に多いです。あたりまえのように使われているこのうがい液ですが、実は風邪の予防には効果がない(むしろ逆効果)だと言われています。

 2002-2003年に京都保健管理センターのグループが行った研究で、「ヨード液うがいをする群」「水でうがいをした群」「うがいをしない群」に分け、風邪の発症率を比べたデータがあります。これによると、最もかぜを引きにくかったのは、水うがい群でした。河村教授は「水の乱流によって、ウィルスそのものやプロテアーゼ(ほこりの中にありウィルスにかかりやすくする)が洗い流されること、また水道水に含まれる塩素がが効果を発揮したと考えられる。」と述べています。一方ヨードうがいで効果が低かった理由としては、ヨードが殺菌効果と共に人間の細胞にも障害をもたらし粘膜が荒れることで、風邪ウィルスの侵入を容易にしている、と言われています。(引用)http://www.kyoto-u.ac.jp/health/006.htm

 予防として使う正常粘膜でさえこの結果ですから、実際に風邪を引いてヒリヒリ喉が痛い時、つまり傷んだ粘膜への細胞障害性は更に大きいことが予想されます。喉が痛いからせっせとうがいをしていることが、ますます治りを悪くする結果となっているのですね。この研究結果、臨床に即していて非常に興味深いと思うのですが、医療機関でヨードうがい液を出される方は多いということは、医療関係者にさえ浸透していないということで残念です。日常に役立つ大切な知識なので、せっせとヨードうがい液をしている真面目なご家族や友人にぜひ教えてあげて下さい。

 最近かなり広がりを見せている「うるおい治療」という傷の治療があります。傷は乾燥させるのではなくしっとり湿らせた状態を保った方が傷の再生を促されるという理論です。この治療の提唱者である夏井 睦先生は、それまで常識とされていた傷のイソジン消毒にも異を唱えており、こちらもうるおい治療の一環として広がりを見せています。私も診療上この理論に従って傷の管理をしていますが、処置に痛みを伴わず綺麗に治ることが多いので患者さんに喜ばれます。傷の治療とうがい、一見関係がなさそうですが、実はダメージを受けた皮膚と粘膜を消毒液にさらすという点では問題は一緒ですね。

 外来であたりまえのようにヨードうがい液を求める方には、上のような説明を(外来は非常に混んでいるのでかなりはしょって簡単に)行い、基本的には水か塩水、緑茶や紅茶によるうがいで十分。どうしてもうがい液を使ってうがいをしたい!とお薬が大好きな方には、創傷治癒効果があると言われているアズノールうがい液を出しています。
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by kasama-hospital | 2014-01-06 06:14 | プライマリケア

今日も張り切って診療中


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