レビー患者さんのご家族はすごいです!

 すっかりご無沙汰しているうちに、年末に突入してしまいました。外来・病棟共に忙しく、書きたいことが沢山たまっています。

レビー小体型の患者さんは、元来生真面目な性格で堅い職業(銀行員・税理士・教師など)についていた方が多いと言われています。そのような真面目な方は人生のパートナーとして真面目な相手を伴侶に選ぶため、生まれてくる子供も真面目になる。これを河野先生は『レビー遺伝子』と名付けています。このような子供は親が認知症になるや、認知症についてものすごい勢いで勉強し、あっと言う間に不勉強な医者を上回る知識を身につけてしまいます。

9月からもの忘れ外来を始めて、このレビー遺伝子をひしひしと感じるようになりました。

レビー小体の家族の特徴

その1)症状を詳細に記録して持参する。
 これが一番の特徴です。診察室に入って挨拶をしてさぁ本題というタイミングで、息子さんからそっとA4用紙が手渡されます。綺麗にパソコンで打たれホチキスで閉じられたそれを見た瞬間、中を読むまでもなく「レビーかも…」と思うのです。そこには、発症からの詳しい症状、いつどこを受診してどんな検査をし、何と診断されたのか、どんな薬が何mgで処方されたのか、その薬でどんな症状が出たのか…が詳細に記録されています。経歴に関しては私がカルテに追記する必要がないほどの完成度であることも。こんな素晴らしい病歴を書いて下さる方のご両親は、私の乏しい経験では100発100中でレビーでした。
肝心のA4用紙の内容と言うと、幻視や大声の寝言、歩行がゆっくりになっていくなどの典型的な症状が綴られ、「他院でアルツハイマーと診断されアリセプトを処方されてから」更に歩行が悪くなって歩けなくなった、今は昼間からウツラウツラと寝ている、などと書かれています。もう、記載内容全体から「うちの親は、レビーなんです!!」というメッセージが痛いほど伝わってきます。

その2)複数の家族が付き添って来院する。

 もちろん全員ではありませんが、これもレビーのご家族の傾向と言えます。緊張した面持ちの配偶者、娘さんや息子さんが何人も診察室に入ってこられて椅子が足りない時点で「もしやレビー…?」と思うのです。大切な両親の初めての診察だから…と言うことで、複数の兄弟姉妹が自分の仕事を調整して来られるのですが、2回目3回目の診察でも、何人かで付き添ってかわるがわる症状を説明して下さることもあり、とにかく熱心です。

その3)初診で既にフェルガードを飲んでいる。

 とにかく熱心に情報収集をされており、よいと思われることはやってみようというスタンスのご家族なので、健康食品であるフェルガード100M(米ぬかとガーデンアンゼリカの配合サプリメントで、認知症の予防・症状改善効果が高いと言われています)を既に購入し、飲み始めている方も多くいます。中には異なる2種類のフェルガードを朝夕と昼で飲み分けている方も。一般的な薬剤に対しての知識も深く、「今日は抑肝散とメネシットという薬を追加したいと思うのですが…」と言って詳細な説明をしようとしたところ、息子さんがメモを見ながら「よかった。実は自分も今日はこの薬を出してもらえないかと思って来ました。」と言われ、2人で笑ってしまったことがあります。それ以来、どう考えても知識がありそうなレビーのご家族には、最初の方で「コウノメソッド、知っていますよね?本も読まれました?」とあらかじめ確認をしてしまい、ごく初歩的な説明をスキップするようになりました。

3つの特徴を挙げてみましたが、全て根っこの部分は同じ。真面目で一生懸命という一言につきます。コウノメソッドを始める前の私が、それなりに認知症患者さんやご家族と接点を持ちながらも『レビー遺伝子』の存在を感じなかったのは、単に数を多く診ていないだけではなく、レビー遺伝子を持つ家族が納得・満足できるレベルの認知症診療を提供できず、そのような家族を引き寄せられなかったことも一因でしょう。それほど不勉強な医師にとって、レビー小体型のご家族は手ごわいのです。手ごわいと言うと語弊があるかもしれません。彼らは一般的に礼儀正しく、医療サイドに無理な要求をしたり、いまいちな治療をしてきた医者にさえ、それを糾弾するような真似はしません。冷静な目で「この医者に通院して良くなる可能性があるか」を判断し、ダメだと思ったらそっと離れていくだけです。一方で、こちらがきちんとした診療を行えば、その効果をきちんと観察して評価してくれる、副作用にも量を調整するなど冷静に対応してくれるという、この上なく頼もし
いチームの一員を担ってくれる存在です。

 私が直接ご家族から聞いた話では、そのようなご家族がレビー小体型では?と前主治医にそっと聞いた時の主治医の反応は

「アルツハイマー+パーキンソン病だと思います。」

「レビーだとしたって別に治療はありません。」

「(薬を減らしたいと言った)息子さんは医者なのか。薬を減らして悪くなっても、私は責任を持ちません。私は何千人も患者を診てきた。アリセプト10mgに増やしてもいいくらいだ。健康食品なんて意味がない。」
全て別の医師の発言です。知識レベルと人間性の両方を疑いたくなる3人目の医師の発言には、絶句しました。このような医師が「その道の世界的権威」として患者さんに紹介されたのです。レビーの家族が手ごわいというのは、家族が問題なのではなく、その思いを受け止める知識も情熱もなく、逆切れとも言えるべき発言をする医療側の問題だということがよく分かります。

 きたるべき2014年も、この現状を少しでもよくするために、頑張ります!皆様、よいお年をお迎え下さい。

 写真は我が家のクリスマスツリー。いたずら盛りの1歳児と3歳児がかたっぱしからオーナメントを引っ張って落としてしまい、寂しい飾りつけになってしまいました。
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by kasama-hospital | 2013-12-29 07:41 | 認知症・介護

今日も張り切って診療中


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