感染性胃腸炎のTips

 こんにちは。
 私は木曜日に研修日を頂いています。県立中央病院で、午前中は稲川先生の小児科外来の見学をさせています。
 稲川先生は、患者さんへの病状説明がとにかくきめ細やかで丁寧なので、その説明を横で聞いているだけで非常に勉強になります。ここだけの話、ここで「へ~なるほど~」と学んだことは、すぐに次の日曜外来の時に「ずっと前から知っています」という顔で説明に使わせて頂いています。
 稲川先生の説明、診察室に留めておくだけでは勿体ない!一般的な疾患の対処法については皆さんにぜひ共有して頂きたい!という思いから、Tipsを勝手にご披露。今日は感染性胃腸炎についてです。

★感染性胃腸炎の内服処方について ~整腸剤が基本。下痢止めはすぐには出さない~
 下痢がつらくて病院に受診するのですから、下痢を止めてほしいという希望は当然ですよね。私も「下痢止めを出してくれないんですか?」と聞かれることは時々あります。しかし、感染性胃腸炎においては、感染の原因でもある下痢便を外に出し切ることで治っていくという経過があります。下痢を止めることは腸の動きを抑えることとイコールであり、その時点ではいくらか腹痛や下痢などの症状が和らいだとしても、便が長く腸にとどまることとなる結果、かえって治癒を遅らせる可能性があるのです。そのため感染性胃腸炎では、整腸剤と言って腸の動きを整える薬(ビオフェルミンやラックビーなど)を処方することが一般的です。下痢が長期に及ぶ場合はこの限りではありません。

★とにかく水分摂取が大切。
胃腸炎について一番心配な状態が、脱水です。ですから家庭においては、とにかく水分をしっかり取ることが最も大切なケアとなります。水分の質としてはOS-1(味には若干癖があります) という飲み物がよく、また温かい方が冷たい物よりお腹に優しい、という事実はあるものの、胃腸炎の水分摂取においては『質より量が大切』! ぬるいOS-1に拘って飲量が進まないくらいなら、飲みやすい冷たい水を多めに取った方がいい、という考えです。また水分の種類については、水でもお茶でもジュースでもよい、ここでも質より量の法則です。(ポカリスウェットは、ジュースと同じ位置づけで、胃腸炎の時にとりわけ体によいと言うことはない)

★食事は無理をしない
 水分は多少無理してでも取った方がいいですが、食事については食欲がなければ無理して食べる必要はありません。

★食事はできれば油分・脂肪分を避けて
 もし本人が望む場合は食事を食べても構いませんが、油分・脂肪分が多い食事は弱った腸に負担がかかるので避けた方がおいです。お粥にするか米にするか、と言った形状の差については、あまり大きな影響はないので、「お粥はあまり好きじゃない」という子にはご飯を食べさせてあげて構いません。

★うまく便が出ずに吐いている時には、浣腸も考慮する。
 胃腸炎と言うくらいなので、嘔気嘔吐(胃袋など上のの症状)と下痢(腸などの下の方の症状)がセットであることが多いですが、中には嘔吐のみの方もいます。風邪で腸の動きが弱っていると、何かの拍子でうまく便が出せず、便が滞って流れていかないために嘔吐を繰り返すことがある。そのような時には、自宅で市販の浣腸(一般の薬局でも子供用の浣腸は売っている)を試してみると、ドッとたまった便が出て、嘔吐症状が落ち着いてくることがあります。浣腸は子供のいる家庭で常備しておいていいアイテムかもしれません。

★吐き気止めの使い方
 便が出なくて吐いている場合のFirst choiceは浣腸なのですが、便が出ていてそれでも吐いている場合には、制吐剤を使うこともあります。ナウゼリンなどの吐き気止めは、一度胃に入っていれば直後に吐いたとしても効果が期待できるので、すぐにもう一度飲み直さずに様子を見ましょう。制吐剤の作用は比較的強いので、2回飲んでそれでも吐き気が続く場合には、一度受診をした方がよいと言われています。

いかがでしたか?ご家庭で家族のケアをされる時にも、ぜひお役立て下さい。
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写真は研修先である県立中央病院です。私にとっては、医者になりたての2年間初期研修でお世話になった、ホームベースのような病院です。
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by kasama-hospital | 2013-05-25 13:07 | こどもの病気

今日も張り切って診療中


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